【忘れられない愛の形】Appendix-A 亀の甲羅
鮮やかに蘇る記憶
彼に縛られた、いや縛って貰った、あのときの全てが、忘れられない。
背中に回したロープを両足に巻き付け、膝が胸につく程に引き絞る・・・、腰の下に枕を入れて、秘所を上向けに晒しだす・・・。
苦痛ではないが、それ故に、尚更のこと羞恥心が募り、煽られた羞恥心は、やがて、快感と幸福感と満足感に変わる。
動けない私に彼がしてくれたこと、そのひとつひとつは勿論のこと、あの姿勢そのものが、忘れられない。
太ももに食い込むロープの感触が、固定された足を動かそうとして更に食い込むあの感触が、鮮やかに蘇る。
***
ある日、週間ポストの広告に、目を奪われた。女優「とよた真帆」の名と「縄」「縛」の文字!
仕事を終えての帰路、コンビニへ立ち寄って、その週刊誌を買った。
グラビアの彼女の写真、ポルノ雑誌ではなく普通の週刊誌なので、痴毛は勿論のこと乳首さえ露になっていない。
もし猥褻にレベルがあるなら、私のあのシーンが、間違いなく勝っている!
いまの私には、荒縄を体のあちこちに巻き付けられ、動きを止められた彼女の表情が、はっきりと理解できる。
あるときは、幸福感と満足感に浸り恍惚の表情で目を閉じ、またあるときは大きく開いた目で挑発してる。
そうよそうよ、私もこうして・・・、
最も目を奪われたのは「亀甲縛り」と題された、数枚の写真。
肩から股間まで、単に巻き付けられているのじゃなく、おっぱいの間からお臍に置かれた二本の荒縄を、左右に引いて、きれいな図柄を描いてる。
そのおっぱいは上と下を通る荒縄で、いやらしい形につぶれてる。薄い布に覆われた乳首は見えないが、きっと立っているはず。
嫌々縛られた、のではなく、望んで縛られ、荒縄で編まれた衣装を纏っている。
ねぇ、私にも纏わせて・・・でも、私のちいさなおっぱい、あんなにいやらしい形につぶれるかなぁ?
***
あなたの願い・私の望み
いつものように、バスタブの中で、立たせた私の茂みに顔を埋めた彼が、呟く。
「ねぇ、オシッコ・・」
「・・さっきしたばかり、出ないよ・・」
顎を挿し込んで太ももを開かせ、彼の舌が奥へ滑り込む。クリトリスを突いては更にその奥を舐める。
彼の頭に手を置き、引き付けてクリトリスを押し付ける。
やがて立ってはおられなくなり、腰を引き、バスタブに沈み込んで、彼にしがみつく。
暫くして力が抜けた私を、優しく抱き抱えて、
「ねぇ、この頃・・オシッコ・・って言っても、逃げないよね?」
「・・・」
「いつか、飲ませてくれるまで、待ってるよ」
「・・(待ってて、いつかきっと、飲ませてあげる)・・・」
いつごろからか、飲ませてあげよう、彼の口に出したい、と思い始めたが、未だ一度もできていない。
「あなたのエッチなお願い、他は全部叶えてあげたよね?」
「そうだね、”オシッコ飲ませて”以外の二つ、ね」
「アンダーヘアはねぇ・・女性誌でも”彼に処理してもらう”なんて記事があったりして・・、ツルツルにされるとは思わなかったけどね」
「あのとき貰ったお守り、ちゃんと持ってるよ」
疑ってるわけじゃないけど、いつか聞こうと思ってた。彼の言葉に、心は舞い上がる。
「でも・・、最初に、縛りたい、って言われたとき、ほんとうに逃げよう、帰ろうと思ったのよ」
「そう、すごい剣幕で、バスルームを出たよね」
「あなた、私が逃げないって、判ってたの?」
「そんなこと、判ってなんかいないよ」
「直ぐには追っかけて来なかったよね? 逃がすつもりだった?」
「・・ウゥん・・最初っからね、嫌がる君を捕まえて無理やり縛るつもりは、無かったんだ」
「・・(そうよね、あたなは私を絶対に傷つけない、心も体も)・・」
「ベッドルーム入ったときは、あやまるつもりだったんだ。ごめんね、と言いかけて・・あのときの君の姿を、今でもはっきり覚えてるよ」
「・・」
「もう、服を着てるだろう・・、と思ってたのに、君は裸のまま、黒いショーツを握って固まってた・・、きれいで、かわいくて、あの姿は忘れないね」
彼の胸に顔をうづめ、視線を避ける。恥ずかしい・・、でも嬉しい・・、私の中に眠るナニかが、あのとき揺り起こされた・・。
顎の下に手を入れ、顔を上向かせて優しいキス、やがて彼にしがみつくようにして深く激しいキス、そのころには恥ずかしい、との思いは消えていた。
「あのときねぇ、縛られながら、良く考えてあるなぁ、と思った・・、あの縛り方、どうして知ったの? 自分で考えたの?」
「・・」
「それに、ロープとショーツ、どこで買ったの?」
「ネット通販・・」
「あぁん、エッチなサイトを漂ってるんだ、サ・イ・テ・イ!」
「ひと昔前には”裏”だったモノが、いまは”表”に出てきてるよ、女を縛るハナシだって、普通の雑誌に堂々と掲載されてる」
「・・(確かにそう、私が買った雑誌も、その類だった)・・他にもいろいろな縛り方を”研究”したよね、きっと?」
「いくつかね・・」
「最初の研究成果が、この前のアレね、じゃあ二番目は・・?」
縛って欲しいと願ってることを悟られないよう、わざと、詰問調で問いただす。
「体全体にロープで模様を描くような縛りがあるんだ。米俵みたいな柔らかいモノを縛る方法がルーツらしいけど・・」
あ、あのグラビア! 直感した私は、慎重に釣り針を垂らす。
「それって、苦しそう?」
「苦しくはない、と思うよ、きっと」
彼の胸に頬を寄せ、小さな声で囁く。
「そう・・、ね、それ、・・させてあげようか・・?」
「ほんとに?」
かかった! 逃がさないように! 私が強く望んているコトも、知られてはならない!
「痛くしないでね、痛いのはイヤ、んっとね、止めてと言ったら止めてくれる?」
「もちろん、君を傷つけたくは無い・・、上がろう・・」
釣り上げた! ワクワクする気持ちを抑えながら、彼に手を引かれてバスルームを出た。
体を拭いながら、彼が言う。
「横紐のショーツ、着けてね」
「良いけど・・、なぜ?」
「股間にロープを通すとき、素肌だったら、タイヘンでしょ!」
笑いながら続ける彼の言葉に、そりゃそうだ、と納得しつつ、思わず赤面した。
研究と練習
ショーツを着け、ベッドに向かうと、彼があの赤いロープを操っていた。
そう、そのロープ、私に巻き付くロープ。太ももに食い込む感触が蘇る。見ているだけで胸は高まり、秘所が熱くなる・・ショーツを着けてて良かった・・
長いロープを二つに折り、折り目に小さな輪っかを作って、立たせたままの私に掛ける。輪っかの結び目が首の後ろに当たってる。
左右の片口からおっぱいへ垂れるロープを手に取り、私の体に押し付けながら、ところどころに結び目を作る。
あぁ、そこがあの模様になるのね・・、グラビアの女優に巻き付いた荒縄が浮かぶ。
股間を潜らせたロープを、背中に沿って持ち上げ、首の後ろの輪っかを通らせた。
脇の下からおっぱいの上を通し、首から垂れる左右のロープに絡ませて、背中へ戻す。
左右入れ替わったロープが出てきて、首から垂れる左右のロープに・・・
何度か繰り返され、おっぱいからお腹に掛けて、いくつかの模様ができた。
ゆったりしていた縦のロープが、横に引かれる度に、ゆとりを無くし、少しづつ股間に食い込み始めた。
クリトリスからワァギナの割れ目に沿ったロープが、秘所の全てを刺激する。異様な感覚ではあるが、快感なのか不快なのか、良く判らない・・・
後から彼の手がそっと伸び、ロープをパンティラインへと、ずらしてくれた。
次の瞬間、ショーツの上からクリトリスを撫でられて、思わず声が出た。
「うぁっ! あっ!」
バスルームで舐められ、ロープで擦られ、張り詰めたショーツで覆われたクリトリスは、完全な準備が整っていた。
やがてショーツの紐に延びた手が、それを引く・・・が、ショーツはロープに挟まれて落ちない・・・
そのままベッドの端に腰かけさせられ、足を開いて膝を抱えあげられた・・・すると、お尻の曲線に沿って、股間のロープが緩む・・・
「緩んじゃった・・」
と言いつつ、ショーツを取って、唇を寄せる。
彼の舌が滑り込み、左右に押し広げられたウァギナが、パンティラインのロープに押し付けられる。初めての感覚。
それだけではない。ただそこにロープがあるだけで、彼のしぐさのなにもかもが、新しい快感をもたらす。
やがて・・彼が入ってきて・・・爆発した。
どれほどの時が過ぎたのか、それすらも判らないまま、気づいたら彼の腕の中にいた。
至福の時間、彼に押し付け、抱きしめられる私の体は、ロープを纏ったまま。
上下をロープに挟まれたおっぱいは、小さいなりにいやらしく潰されている。
ロープを辿りながら、彼が呟く。
「縛らせてくれてありがとう。君も良かったみたい・・、でも、残念なことに、きれいな形に縛れていない。」
新しい快感に包まれてイっちゃったことは確かだけど、縛られてたから、なんて思われてはいけない。ハナシを逸らさなきゃ!
「これが初めてなんでしょ? それとも、誰か他の女で試した?」
「いやいやそんな、もちろん初めてだよ・・」
慌てて応える彼に抱きついて、
「じゃあ、もっともっと、研究して練習しなくちゃね!」
からかうようにキスする私は、幸福感と満足感に満ちていた。
「解こうか?」
と尋ねられて、思わず本音が出た。
「ううん、もう暫く、このままでいたい。」
Vol.1 / vol.2 / vol.3 / vol.4 / vol.5 / vol.6 / vol.7 / vol.8 /
/ Appendix-A / Appendix-B / Appendix-C /