キッチンでのピンクな秘め事

キッチンで愛撫を受けている女性~官能小説挿絵~

キッチンでの誘い

(何考えてるんだろう?)

夕食の準備をする菜々子の背中を、恭夜はリビングのローテーブルからぼんやりとそんな事を考えながら眺めていた。

時間を共にしている間、菜々子が何を思い考えているのか、彼には解らなくなる時があり、今がその瞬間だった。

仕事のこと、将来のこと、その他諸々。30代に足を踏み入れた菜々子には、考えなければいけないことが山程あるが、まだ20代半ばの恭夜にはピンと来なかった。

しかし、彼にとってそれは歯痒い事でしかなかった。

考え出したら急に孤独に襲われた恭夜は、それを埋めるように、そっと菜々子の背後に近付いた。

紺色のエプロンの上から女性らしい細い腰に抱き付く。

「やっ、なに…!?」

「菜々子」

裏返った声を上げる彼女とは反対に甘えた声で、恭夜は目の前の色白のうなじに顔を埋め、そのまま唇を落とす。

「今、ご飯作ってるんだけど…」

「続けてよ、オレ勝手にやるから」

菜々子があしらうも、恭夜は聞く耳を持たない。

繊細さの漂う首筋、上下の首の付け根と彼は悠然と唇を這わせる。拒否権はないと悟った彼女は、リップ音を聞きながら黙々と作業を続けた。

しかし、その細やかなあしらいが、恭夜の行動をエスカレートさせる火種となる。

「やぁんっ、」

括れた腰から平坦な腹部を滑り、菜々子より何回りも大きな掌で豊満な2つの膨らみを、ブラジャーのように覆った。

力ない指先で椀型を極力維持し、Tシャツ越しに円の軌跡を描く。

「ぁっ、ダメってばっ、」

艶を増した声に乗った抵抗を恭夜が聞く訳もなく、寧ろ菜々子に見せ付けるように手の動きを大袈裟にした。生き物でも入り込んだように、エプロンの中で乳房が動く様を否応なしに眼下で捉えさせられる彼女は、この上ない羞恥を感じていた。

しかし、下腹部の最奥や乳房の奥で熱を持ち、痺れるようなジンジンとした感覚を持ち始めていたのも事実だった。

眼下の光景と何とも言えない感覚を紛らすように、菜々子はラップをガラスボールにかけてビリっと切る。

その直後だった。

胸の動きが止まったかと思うと、恭夜の手が彼女のTシャツを裾からバサッと一気に捲り上げ、エプロンの中で乳房を支える最後の砦を露出させた。

そして、砦であるカップも左右に捲り、控えめに顔を出した豆粒程の突起物を指先で弄り始めた。

「ダメとか言いながらすげえ勃ってんじゃん…ココ、」

菜々子の耳元で呼気混じりに熱っぽく囁くと、恭夜は位置を示すように、芯の入った尖端を指の腹で押し潰した。

「はぁんっ、」

神経を直に触られたような急に鮮明さを増したビリビリとした刺激に、彼女は握っていたラップの箱をシンクに落とすと、咄嗟に縁に両手を着いて体を支えた。

艶かしく悶える菜々子の後ろ姿を前に、爪先で引っ掻くように微かな力で弾いたり、クリクリと捏ね回したりと、恭夜は効き目の遅い甘美な毒を盛り続ける。

「今までこのキッチンでしたことないでしょ? こんなエッチなこと」

彼女の羞恥を煽る言葉は、この先の行為を進める合図だったのか、彼は片方の手をパンツの中にそっと忍ばせ、指先で下半身の双丘を鷲掴んだ。

蜜豆のオーガズム

(あれ?)

その瞬間、恭夜は疑問と違和感を覚えた。本来はパンティの布が触れる筈なのに、彼の指先が感じ取ったのは体温を持つ肌の感触だったから無理もない。

(もしかして…)

そう思いながら、恭夜は掌と指先を臀部全体に這わす。すると、2つの肉の球体の間と恥骨の部分に心許ない細い布の感触を、彼の爪先が感じ取った。

違和感と疑問が解消された恭夜は唇で弧を描きながら、臀部の柔肉を弄んでいた手を前に移動させ、頼りないパンティの隙間から指を2本を陰部に忍び込ませた。

「せめて、準備した後で、…ぁっ!」

程好い繁みに覆われた肉厚な陰唇に隠れた、薄い肉襞の奥の突出物を指先で軽く擦ると、菜々子の体が大袈裟に跳ね上がった。

今まで手付かずだったにも関わらず、彼の指の腹に伝わったのは、指先より高い体温と自立できる位の硬度。

「こっちも、こんなに勃ってる」

彼女の鼓膜に濡れた呼気を吹き掛けるように言うと、ほんの僅かに爪先を触れ合わせて、充血しているであろう陰核にバイブやローターのように振動を与えた。

強弱を付けて弾いたり捏ね回したり摘んだりと、可愛らしく勃起する淫らな肉豆を、恭夜の2つの手が器用に構う。

「はっ…ぁっ…ぁっ!」

何処をどう触られるか、目隠しでもされているような予測不能な官能が菜々子の体を巡った。唇から溢れた呻きにも似た甘さを帯びた喘ぎが、時折痙攣するしなやかな四肢がそれを示していた。

既に官能的な悦びを与えられた彼女の肉体は、些細な刺激にも敏感になっていた。そんな菜々子にとって、無数の神経が密集する陰核への刺激は強烈で、目眩がするような鮮烈な快楽を大脳にまで植え付けた。

夕食の準備しないと。彼女の脳裏からそんな考えはもう消えていた。

「ぁっ、恭夜っ…!」

シンクに向かって吐き出される、助けを求めてすがるような切迫した彼女の声に、艶やかさと甲高さが格段に増した。菜々子のその反応が何を意味するか、彼には解っていた。

彼女に痛みを与えないよう、リズムや力加減を変えないまま刺激を加え続ける。

肉体の奥から、抑え切れない何かが迫り上がる感覚を、菜々子は自覚していた。全身を焦がすような熱さが、彼女を襲う。

「体が、燃えちゃいそうっ…恭夜…!」

得体の知れない感覚と共に皮膚は愚か内臓まで溶かすような熱が、彼女の心身で最高潮にまで達した時だった。

閃光のような、鋭くもほんの一瞬だけ輝きを放つ光を瞼の裏側で感じると、瞬きをするような僅かな時間、菜々子は魂が肉体から抜けるような浮遊感にも似た感覚に陥った。

「っ、はぁっ、はぁっ、」

全身の交感神経を働かせて大幅に体力を消耗すると、菜々子は肩を上下させて浅い呼吸を繰り返しながら恭夜の腕の中で、弛緩した毛穴という毛穴から蓄積した熱が緩やかに抜けていくのを感じていた。

これ以上ない熱情で体が覚めず、アルコール酩酊状態のように意識が定まらない中、パンティの内側をまさぐる彼の指先が、彼女を悶絶させた突起物の下へと伸びた。

そこは既に濡れそぼっていて、周辺の肉も柔らかさと指先以上の熱さを持っていた。

「続ける? 夕飯の支度」

潤う侵入口に爪先を埋め込みつつ問いかける恭夜に、菜々子は首を数回横に振って否定の意を示した。

「このまま止めたら、菜々子が辛いもんね」

彼女の意思を聞くと、待てから解放されたペットのように、恭夜の手が間髪入れずに動き出す。

心身で感じる官能

背中の蝶結びを解いてエプロンを剥ぎ取れば、捲られたTシャツとカップから溢れた乳房が。ゴム紐タイプのゆったりしたパンツを擦り下ろせば、白いTショーツから溢れ出る生桃のような双臀が暴かれた。

(すごいエロい…)

菜々子がTショーツを身に付けている姿をいざ目の当たりにすると、解っていても恭夜に視覚的な興奮を与えていた。彼の下着の中で完全に勃ち上がった性器がビクンと痙攣する。

窮屈さに堪えられなくなり、恭夜は下半身の衣類を寛げて性器を剥き出しにすると、ポケットに忍ばせていた避妊具を素早く被せた。

「片方、脚上げて」

既に彼が与える快楽の奴隷と化していた菜々子は、言葉を素直に聞き入れた。

その様子に満悦しながら上がっている脚の太股を掴み、彼女の淫部にシンクを照らす光を当てると、臀部の割れ目を覆う布を横に擦らした。そして、尚も熱く潤い柔らかさを保ち続ける部分へ、恭夜は後ろから侵入する。

「はぁんっ、」

「っ、」

鈴口を奥へ埋めていくと、菜々子の濡れ肉は恭夜の硬い昂りにぴっちりと絡み付き、まるで直接挿入している錯覚を起こした。

「ああんっ!」

亀頭部が少し奥のザラっとした部分に触れた途端、陰核の刺激以上に全身が熱く疼き出した。

「良かった、すぐ見付かって」

不安定なバランスの中、シンクに着いている菜々子の手に彼は自身の手を重ねると、位置を擦らさないよう、緩やかなリズムで突き上げた。

一度最大の悦びを味わった体は敏感で、撫でるような突き上げでも、彼女に痺れるような疼きと熱を与えるのに時間はかからなかった。

「ここに立つ度、思い出してよ、考えてよ、オレとセックスした事を」

恭夜のその言葉が菜々子の欲情を奮わせたのか、隙間なく密着している陰茎を離すまいと更に強く締め付ける。

(あと、もう少しだけ…)

突如訪れたその感覚に、彼は眉間に皺を寄せ、なけなしの理性を総動員させて射精感をやり過ごそうとする。

「あっ、あぁぁんっ、恭夜っ、…またっ…またイっちゃう!」

「イキたいなら、1つ聞かせて。今、何考えてる?」

問いながら、ゴム越しに亀頭部を当ててる場所を、今の体勢でできる最高の速度と強さまで上げて突き上げる。

「あっ、あっ、あぁぁっ…恭夜、恭夜のことっ、」

悲鳴にも近い、快楽に溺れた甘く乱れた声色で紡がれたのは、恭夜が1番聞きたかった言葉。それは理性がなく、例え悦楽欲しさのこの場だけの言葉だとしても、今の彼は満足だった。

「その言葉が聞けて、安心した」

眼前にある小さな頭を後ろに向かせると、恭夜は肉感的な菜々子の唇に自身のそれを強く押し付けた。

彼女の喘ぎを咥内へ飲み込みながら、恭夜は避妊具の中へ精を放った。

初々しい告白

セックスの後処理を終えての夕食中、2人の間には気不味い空気が流れていた。そんな雰囲気を醸し出しいているのは、恭夜の向かいに座る菜々子だった。

「あの、菜々子…」

呼び掛けに応じず、彼女は無表情でオムライスをスプーンで掬って黙々と口に運ぶ。

「何と言うか、何考えてるのかなとか、今までどんな男がここに入ったんだろうとか考えたら、無性に寂しくなって腹が立ったりして、あんな事しちゃった、みたいな?」

「…」

「本当にゴメンなさい」

早口で言い訳を並べるも口にする言葉が底を尽きたのか、尚も沈黙を貫く菜々子に恭夜は頭を下げながら謝罪した。

暫しの沈黙の後、彼女の溜め息と共にカシャンと皿の上にスプーンが置かれた。びくびくしながら、恭夜は旋毛で菜々子の言葉を待つ。

「…恭夜が、初めてだよ、他人を部屋に上げたのは」

どんなお咎めの言葉を受けるかと思ったら、彼女の口から出たのはそんな言葉。想像と違った言葉に拍子抜けした彼は、思わず頭を上げた。

すると、目の前には頬を赤く染め、俯き気味の菜々子が居た。

「大袈裟だけど、恭夜が居ない日常は、考えられない」

そんな言葉を恥ずかしそうに紡ぐ彼女は、まるで初恋をする少女みたいに無垢で初々しく、とても彼より年上には思えなかった。

(何を考えてるのだろう?)

彼の中でそれの明確な答えはまだ見付かっていないが、菜々子の中に自分の存在は根付いている。

その事実以上に欲しい物が、今の恭夜には思い浮かばなかった。

 


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