清楚女を催眠術でイカせたある日の出来事
唇から放たれた瞬間、言葉には不思議な力が宿るといわれている。
感謝、好意、激励などプラスの言葉を口にすれば、幸福感に満ち溢れる。
反対に、批判や陰口、疲労感などマイナスの言葉を口にすれば、鬱々とした気持ちに支配される。
俗にそれらは言霊と呼ばれる。
しかし、放つ側と受け取る側の双方に感情が伴っていなければ、言霊は最大限に力を発揮しない。
寂しさを埋める催眠
(慰めてくれるなら、彼を忘れさせてくれるなら誰でも良かった。側に居たのが、ただ貴方だっただけの話)
「居るんでしょ? 解ってるよ、川北くん」
泣き跡が残って僅かに揺らぐも、安定した口調で言うのは、幸前和香だった。
つい先程、恋人に捨てられたとは思えない凛とした声で言うと、小さな講義室のドアがそっと開いて、1人の男子大学生が姿を現して中に入ってきた。
和香の同級生で卒業研究を一緒に進めている、川北修矢だった。
「私の隣に来て」
盗み見していた罪悪感に加え、和香に恋情をも抱いている為に、女王様のような高飛車な物言いに、それこそ召し使いのように修矢は無条件に従った。
彼が隣に座ると、和香は大きな肩に顔を乗せて俯いた。
それから間もなくして、啜り泣く声と共に修矢のポロシャツが熱い湿りを帯びる。
(川北くんに慰めてもらう日が来るなんて…)
丸々太った体、お洒落とは縁遠い服装に小物や髪型、お世辞にもカッコいいとは言えない見た目。
そして、生粋のゲームオタクな一面。
女性が近寄りたくない要素をほぼ全て持っている修矢に、和香も嫌悪を抱いていた。
同じ研究室に配属された上に、1年半も顔を合わせないといけないと確定した瞬間、彼女を絶望が支配した。
しかし、研究を進める中でリードしてくれる男らしく頼れる一面を知って、和香の修矢への嫌悪は気付いたら消えていた。
他人事のように、今の自身の状況を滑稽に思う彼女に対して、和香を恋慕う修矢は全く違う事を思っていた。
(どうしよう…すごいドキドキする)
卒業研究で頻繁に顔を合わせているとは言え、彼女とこんなに接近したのは初めてで、彼は嬉しいと同時に緊張でどうにかなりそうだった。
しかし、修矢の身に降りかかるのはそれらだけではなかった。
(…こんな時に、)
今の彼にとって、和香と小さな室内で2人きりという状況は酷な話で、不謹慎だと頭では理解していても、肉体は彼女の心身を欲していた。
修矢の局部にジワジワと熱が集中する。
(見ないフリ、見ないフリ…)
意思に反して湧き出す欲情を理性で抑えていると、不意に肩の重みが無くなった。
突然の変化に重さの余韻が残る肩の方に目を向けると、彼女は頭を上げていた。
そして、視線を反らさないまま彼に問いかけた。
「どうしたら、貴方の事を好きになれるかな?」
涙の余韻が残って瞳がまだ濡れているが、向けられた眼差しは真剣そのもので、修矢は一瞬呼吸をするのも忘れていた。
想いを寄せ続ける相手が、自分を好きになりたいと言っている。
例えそれが自暴自棄から来る言葉で、本心でないとしても、和香にずっと想いを寄せていた彼は、天にも昇る気持ちだった。
「だったら、ちょっと耳貸して」
修矢の言う通り、彼女は耳を傾けた。
弱っている時に着け込むのは卑怯なやり方だが、こんなチャンスは次にいつ訪れるか解らない。
そんな焦燥感にも似た気持ちが、僅かに沸いた罪悪感を跡形もなく掻き消すと、修矢は和香の耳元で唇を動かした。
「幸前和香は川北修矢を心底好きになる、好きになる…好きになる」
耳元で辛うじて聞こえる位の声量だが、暗示をかけるようなその声音は、酷く温度や甘さを孕んでいて、隙だらけの彼女の脳内に強く響き渡った。
まるで霧の中にでも居るように、それからの和香の記憶は曖昧だった。
「場所、変えよう」
修矢の提案を、彼女はすんなりと受け入れた。
奪われた正気
されるがまま、公の場である大学の講義室から、最高のプライベート空間である自分の部屋に和香を連れ込んだ瞬間、修矢は本能を抑えられなかった。
「んっ…!」
小動物を捕食するかの如く、彼は華奢な体を壁に押し付けると、咬み付くような口付けをした。
それは1度や2度ではなく、角度を変えて何度も繰り返される。
不躾に押し当てられる唇は、手入れが施されていない為か、カサカサで乾いていた。
(キスしてるんだ、川北くんと)
呼吸のタイミングを無視した、口付けに軽い酸欠に陥りながらも、和香は修矢を拒まなかった事を、不思議に思っていた。
それどころか、乾燥した唇に男らしさや安心すら感じていた。
「…!」
様々な感情が入り乱れる中、和香の咥内にぬるりとした物体が侵入する…修矢の舌だ。
咥内に難なく入り込むと、修矢は充分に潤いを持った舌を目一杯伸ばし、逃げ惑う彼女のそれを捉えて深く絡ませる。
玄人も素人も問わず女性経験がない修矢に、当然ながらキスの経験はなかった。あるのは、アダルトメディアの映像や雑誌から得た知識のみ。それらを思い出しながら、舌を含め彼女の咥内を刺激する。
だが、全く経験のない修矢に得た知識を使いこなすのは困難な話で、舌遣いは拙く落ち着きがなく、時折カチリと鋭い犬歯や前歯が当たったりして、ディープキスと呼べる代物ではなかった。
チュクッチュクッと大袈裟に卑猥な水音を鳴らしながら、無防備な舌を絡ませたり、頬裏を舌先で軽く舐め上げたりと、ハードさを演出するように激しく舌を動かす。
(必死だけど…いいな、何か、)
舌まで絡み始めた拙くも濃厚な口付けは、和香の体内への酸素の供給を更に鈍らせ、果ては彼女の意識をも希薄にさせては完全に奪おうとした。
(…幸せかも、このまま呼吸困難で死ねたら)
(だって幸せじゃない? キスして気持ち悦くなりながら死ねるなんて)
そう思える程に、和香の心身が修矢に侵され始めた時だった。不意に、押し当てられた唇が離れ、咥内を解放された。
2枚の舌の間で銀色の糸が名残惜しそうにプツンと切れる。
濃厚な口付けの余韻もそこそこに、修矢は和香の耳元でそっと囁いた。
「僕の前で服、脱いで」
その言葉に、呼吸の乱れで紅潮している、彼女の頬の赤みがカッと鮮明さを増す。
「…さすがに、それは無理よ、」
「見たいな…和香の裸」
「…」
「お願い」
「…わかったよ」
同じ声調の圧しに負けた和香は、粗末な玄関の灯りの下で衣類に手をかけた。
支配された心身と嗜好
ヒップ丈のカーディガン、キャミソール、デニムのショートパンツと、和香は肌を覆う布をパサリパサリと1枚ずつ床に落としていく。
ストリップショーを観賞するような、欲に濡れた視線を浴びたまま、肌を曝していけば、和香が身に付けているのはとうとう下着だけになった。
”見たいな…和香の裸”
(初めてだ、あんな直球で求められたの)
鮮明に脳内で再生される修矢の一言一句。
それが品性に欠けていても、今の隙だらけの彼女の心を揺さぶるには、充分な要素だった。
もう和香の肌を隠す障害はなかった。
「なったよ、」
「もっと、近くでよく見せて」
2人の距離は僅か数十センチ程だが、その隙間も惜しいとでも言うように修矢が熱っぽく囁くと、和香はゆっくりと彼に近付き、隙間風の通り道を塞いだ。
すると、香水とはまた違う、彼女が放つ何処と無く甘美な香りが、修矢の鼻腔をそっと刺激する。
色白の首筋に鎖骨、同色の2つの均等な膨らみ。そして、中心部の黒い茂み。
「…想像してたより、ずっとエロい」
恋い焦がれていた相手の女性的な部分を目の当たりにしたという事実が、修矢の本能を引き出していく。
「ココとか」
そう言って彼は、淡く赤みを帯び始めた、膨らみの先端部に舌と指で触れた。
左は舌を伸ばして、先端でノックしたり輪郭を辿るように舐め回す。時折、ジュッと音を立てて吸い付くのも忘れない。
右は親指と人差し指で、弾力を味わいながらクリクリと捏ね回して弄ぶ。
「ぁっ、はぁんっ…んっ、」
和香の唇から、日常生活では発せられない、鼻にかかった吐息交じりの声が漏れる。
カサついて乾燥した指先の感触、しっとり湿る舌の感触が絶妙に混ざり合い、それが彼女を意に反して悦ばせた。
「僕はね、無理に突っ込むのが1番興奮する。和香も、痛くされるの好きでしょ?」
“痛くされるの好きでしょ?”
「あぁんっ…そうっ、好きっ、痛くっ、されるのっ…」
意味を理解するように、修矢の言葉を一言一句違う事なく脳内で再生すると、彼女はそれを甘ったるい声音で答えた。
しかし、和香は本来、そんなノーマルから少し外れたプレイに興奮など覚えない。
だが、彼の言葉や行動1つ1つが、今の彼女にとっては全てだった。
「じゃあ、叶えてあげる、その望み」
修矢はイヤらしく口角を上げると、唇を寄せている方の突起物に歯を立て、カリっと噛み、もう片方のそれは少し強く摘まんでつねり、痛みを与えた。
「ひあぁんっ、」
痛覚が刺激されたが、和香に最早そんな自覚はなく、与えられた痛みは、彼女の中で悦びに化けた。
幻想の悦楽に、剥き出しの彼女の肢体が妖艶にしなる。
そんな和香を前に、修矢は我慢できないとばかりに荒く乱れた呼吸をしながら、ジーンズのファスナーを下ろした。
開けた先からは、既にしっかりと天井を向いた修矢の陽物が姿を現す。
(これが、今から私の中に入るんだ…)
限界まで膨れ上がって青筋を立て、だらしなく乳白色の液体を垂らす肉塊を前に、和香はゴクリと息を飲み、彼と同様に期待に胸を膨らませた。
「ねえ、僕にお尻向けておねだりして。和香のエッチなオ××ンコに修矢の太くて硬いオ××チンちょうだいって」
耳を塞ぎたくなるような直接的な表現に、彼女の体温はカッと上昇する。
しかし、それは羞恥による熱ではなく、性的な興奮による物だった。
何とも言えなくキュンキュンと収縮を見せる下腹部、結合部からじんわりと漏れ出る淫らな潤滑剤がそれを示す何よりの証明だった。
どうしようもない陰部の火照りを抱えたまま、和香は修矢の願い通り、四つん這いになり、腰を高く上げ、桃のような真ん丸で色白の尻を彼に向けて言った。
「…和香の、エッチなオ××ンコにっ…修矢の太くて硬い、オ××チン、ちょうだいっ…ッ、」
(幸前さんから、こんな言葉が聞けるなんて…)
言わせたとしても、好きな人からの淫らな懇願に、修矢は男としての悦びを得ずにはいられなかった。
幻の悦び
一時の支配欲や征服欲で心を満たすと、全ての準備を整えると、修矢は和香の尻肉を左右に拡げ、割れ目に先端部を宛がった。
「よくできまし、たっ、」
そして、熱くぬめる肉口の奥へ、一気に陰茎を押し進めた。
「ひあぁぁうっ…!」
充分に分泌された体液で、潤いと滑りを含んでいるとは言え、限界まで質量と硬度を孕んだ肉塊の侵入は、彼女に焼けるような鋭い感覚を与えた。
もちろんそれも、今の和香には苦痛ではなく、欲情の要素でしかなかった。
しかし、彼女の欲を駆り立てたのはそれだけではなかった。
「あうっ…何でまたっ、大っきく、なってっ」
「和香の膣が、熱くてっ、ヌルヌルで、キツく僕を、締め付けるから、だよっ、」
(すごい色っぽい、川北くん)
自分と繋がる事で、情欲に逆らえない修矢の様子に、和香は酷く興奮を覚えた。
和香の入口が異物の形に馴染み、ヒリヒリと焼けるような感覚が蕩けるような熱い感覚に変化した頃、修矢は大きく腰を退いて挿入物を抜き出すと、そのまま抽挿運動を開始した。
亀頭部を膣壁にぶつけて擦り付ける度に感じる、中を満たす湿りや体温、不規則なうねりや収縮。
生まれて初めて体感する女性の、しかも想い人の深い部分の感触に、修矢の欲情が青天井と化した。
(どうしよう、幸前さんの中、気持ち悦すぎ…)
湧き上がり続けるそれを発散するように、彼は下腹部の動きに勢いを乗せた。
ムラが目立つでたらめで偏った刺激ポイント、バラバラの強さ、乱れた刺激リズム。
和香の体や快楽は後回しに、修矢は底なしの欲求を満たすべく、自分本位の律動を続ける。
「気持ち悦い、でしょ…和香っ、」
「はっ、あっ、あっ、あぁんっ、…悦い、すごく悦いっ、」
呼吸を乱して喘ぎ混じりにする、淫猥な言葉のキャッチボールが起爆剤となったのか、彼女の濡れ肉が、硬い異物を今日1番の強さで締め付けた。
「っ…、」
(もう、ダメだっ…)
ついさっき童貞を卒業した修矢にとって、それはかなり強烈で、クライマックスを目前まで連れてきてしまった。
「和香っ…すぐっ、イキたい? もっと、気持ち悦く、なりたい?」
「イくっ、イキたいっ…もっと気持ち悦く、なりたいっ、」
「だったら…、」
欲求の頂上に登り詰めたいと、囈言のように強請る和香に、修矢は息を飲んで呼吸を整えると、その先を続けた。
「和香の中で、イカせて…」
安定した静かな声調だった。
“ずっと好きだった”
“付き合って欲しい”
そんな告白をしても、和香が正気に戻れば全てなかった事になる事実を承知で出した、交換条件。
卑怯だと解っていても、彼女の心身に少しでも自分の存在を刻み付けたいという欲に逆らえなかった末の行動だった。
正気を失っている今、和香の答えは決まっていた。
「私の中にっ、…修矢の熱い精液っ、たくさん、ちょうだいっ、」
「…ありがとっ、」
彼女の返事を聞くと、修矢は下腹部の律動運動を止め、全神経を総動員させて腹部に力を込めた。
「っ、はっ、…」
合図のように、修矢は熱っぽい声の籠った吐息を吐くと、和香の中に溜め込んだ欲を吐き出した。
それが刹那の時間でも、修矢にとっては至高の瞬間だった。
「はぁっ…熱いのが、私の中にっ、」
「和香も、イッてっ、」
熱を出し尽くし、一瞬の幸福を貪った修矢は制止を解除すると、まるでお預けを喰らった犬のように、彼女は絶頂へと登り詰めた。
「もういいよ、幸前さん」
熱く甘美な甲高い叫びが部屋中に轟く中、修矢は和香の催眠を解いた。
取り戻した正気
お互いに理性を取り戻した後、修矢は今の状況に至った経緯を詳細に話した。
催眠をかけて自室に連れ込んだこと、性交に及んだこと、そして中に出してしまったこと。
「ゴメンなさい、幸前さん」
上半身を起こす和香を前に、修矢はベッドサイドで正座したまま、俯いて言った。
「…そうだったんだ」
無感情にも聞こえる、抑揚のない返事に心中で怯みながらも、彼は続けた。
「完全に姿を眩ませ、ってのは無理だけど極力、幸前さんの前に現れないようにするから」
「…」
「残りの研究は、僕が進めておくから「修矢」
後ろめたさを少しでも紛らすように言葉を放ち続けていると、和香が彼の名前でそれらを遮った。
「は、はいっ!」
話を遮られて裏返った声で反射的に返事をすると、彼女は続けた。
「…疲れたし、産婦人科に行って学校休むから、明日の研究は進めて欲しいな」
「…へ?」
言葉の意味を噛み砕けてない修矢を尻目に、今度は和香が先を続けた。
「でも、修矢が学校終わったら、明日は一緒に何処か出かけよう。買い物がしたいし、夜カフェに行ってお茶してご飯食べたい。後は何かゲームもしてみたいな」
「…え?」
「まだ解らない? 正式に川北くんの、修矢のカノジョになるって言ってるの。ちゃんと催眠は解けてて、今は正気だよ」
「本当に!? 本当なの!?」
「本当だよ」
言葉に真実味や説得力を持たせるように、和香は口角を上げて修矢に微笑みかけた。
「僕、幸前さん、和香の事大事にするからっ、絶対守るから」
「わあ、頼もしい」
嬉しさのあまり泣きながら誓う修矢に、和香は宥める様な優しい声で言った。
(好きよ、修矢)
そんなストレートな言葉が恥ずかしい和香は、心中で修矢に告白した。
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