面影を追いかけて

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愛した男の影を求めて

江戸風情漂う温泉地。真は、恋人の千桜と一緒に訪れた。

『就職祝いに温泉に連れて行ってあげる』

そんな彼女の言葉から、今回の温泉旅行が叶った。

(今頃、千桜もこんな感じで温泉に入っているんだろうか?)

そう思うと局部が温泉より熱く、硬くなるのを真は感じていた。

千桜は真のアルバイト先の和菓子屋の店主。

彼らは恋人同士であると同時に、雇い主と従業員という関係でもある。

『私と付き合ってくれないかしら?』

閉店後の片付け終わり、着替えようとする真を引き止めるように千桜は告白した。

その時の彼女は、40代も後半に差し掛かっている成熟した女性ではなく、思春期の少女の如く純真無垢に思えた。

『…付き合います』

彼女の告白に彼はほぼ即答で答えた。

大学男子の真、彼より少し歳上の子を持つバツイチの千桜。

千桜の子供たち、離婚した彼女の夫、他のアルバイトスタッフなど周りの目を忍んで付き合いを重ねる中で真は知った。

2周りも年が違う自分と付き合いたいと言い出した理由を。

湯上がりの誘い

「長居してしまったか…」

夜とは言え、まだ暑さが残る9月初旬。

旅館用の藍色の浴衣の内側で絡み付くような暑さを感じながら、真は部屋に戻った。

「ゆっくりだったわね。気持ち良かった?」

するとそこには、彼と同じ浴衣を身に纏う千桜の姿があり、豪華で大きな椅子に座って寛いでいた。

襟元から伸びる色白の首筋、裾からチラリと覗く組まれた脚。

目の前の千桜の姿態は、今の真には扇情的としか思えなかった。

己の欲が疼く感覚を恥じて、彼は一瞬ピクリと眉間に皺を寄せた。

その瞬間を千桜が見逃すはずが無かった。

唇で軽く弧を描いたまま、椅子から立ち上がって真の元へゆっくり歩を進めると、彼の胸板へ体を預けた。

「嬉しいわ。こんなになってくれて」

千桜は体重を真の胸板に預けながらも、彼の下半身に手を伸ばした。

硬い漲りに急に触れられ、真は電流でも走ったように体を振るわせた。

「キスして」

千桜は真の胸元に囁き、濃蜜な息で彼の素肌を濡らす。

色香に誘われた真は、彼女の腰と後頭部を腕で拘束し、自分の唇を彼女のそれに重ねた。

「んんっ…!」

千桜の艶声を咥内に飲み込むと、真はすぐに彼女の咥内に舌を忍ばせ、彼女のそれを絡め取った。

『私はここが気持ち悦いの』

セックス時の彼女の言葉を思い出しつつ、丹念に舌を絡め、時に強く吸ったりと咥内を蹂躙する。

「んっ…ふっ、」

洗練されきってない未熟な、でも壊れ物を扱うような舌遣いに、じわりと淫部の疼きを千桜は感じた。

生理が上がって役目を終えた彼女の性器が、まだ女で有りたいと訴えているようだった。

閉じられた瞼の奥で、彼女は官能を味わう。

「はぁんっ…」

吐息に混じった鮮明な嬌声は、真の鼓膜を弱く震わせる。

気付かれないよう、彼は閉じている瞼を半分開けると、瞼を閉じてキスに応える千桜が映る。

真に見られている事に気付いていないらしい。

だが、彼が彼女の顔を眺めていられる時間は、意外と短かった。

千桜は唐突に唇を離して真を視界に入れた。

頬は桜色に染まり、瞳を瞳を蕩けさせ、恍惚とした表情をしていた。

「布団へ。我慢出来ないわ、私」

千桜は切迫した、でもうっとりした声で誘い、浴衣の上から女淫を触らせた。

濃厚な口付けに、そこは既に湿地と化し、真の指先に淫らな温もりを与えた。

生殺しのオーラルセックス

初めての恋人、キス、そしてセックス。

真の初めては全て千桜の手で奪われた。

「んっ、ぁっ、」

滴る蜜を啜りつつ、熱く膨れた淫襞に軽く舌先を這わせる。

口元や鼻先に黒く柔らかな茂みがチクチクと当たるが、真にはそれすらも心地好かった。

「…ああんっ!」

彼が目の前の淫部の奥へ、尖らせた舌を突き立てれば、彼女の唇から甲高い声が上がる。

千桜の全身に快楽が、電流のように巡る。

いつも主導権を握る彼女がそれで良しとする筈なく、千桜は真の亀頭を口に含んだ。

「っ、」

顔を出した亀頭冠へ舌を這わされ、上げそうになった声を、唇から溢れる寸前で喉奥に収めた。

千桜が布団に横になり、口や手で同時に性器を愛撫する、2つ巴の体勢。

今の体勢を想像するだけで、真を酷く昂らせる。

「ああっ…そこ、気持ち悦いわ、」

空気が入らない位、唇を彼女の蜜源に密着させ、舌を伸ばして蜜壁を舐めれば、M字に開脚した千桜の脚が痙攣する。

『私はここを舐められるのが好き』

甘美な喘ぎを聴きながら真は思い出す、童貞を喪失した日に教わった千桜の言葉を。

性に多感な思春期、授業程度の知識しか性に触れて来なかった彼は、他の同級生より性への興味が薄かった。

男性器を女性器に挿入して射精する、真の中でセックスはそんな行為だった。

それ故、彼は知らなかった。

結合部を愛で合うオーラルセックスが、射精以上の愉悦を産むなんて。

「っぁ、千桜…!」

喉の奥まで淫茎を咥え込む生暖かい感覚に、真は千桜の蜜肉から唇を離して堪らず声を上げた。

いつもより低く濡れた、男特有のくぐもった呻き。

快楽に耐える真の声が聞きたくて、千桜は頭を上下に降って律動を速くした。

彼女のその行動は、熱情滾る彼の肉茎の、快楽の極みへ導く場所を掠めた。

「っ、」

鈍くも的確で鮮烈な悦楽は、精を吐き出したい衝動を、真に与えた。

「千桜っ…」

悩ましげな声で愛しい彼女の名を口にした、その時だった。

千桜は律動を止め、彼の熱棒を咥内から解放した。

吐精目前で口淫を止められた真は、乱れた呼吸をしながらも喪失感に襲われた。

20代前半と活気溢れる年代の彼にとって、本能を抑え込むのは拷問にも近かったが、真は失念した千桜の言葉を思い出した。

彼の下から抜け出して体を起こす彼女は、再度言い聞かせるような声色で言った。

『「私より先にイかないで」』

(千桜がイってからだ、イくのは)

「そうだった、悪かった」

叱るような言葉に謝罪し、真は四つん這いの姿勢を崩して、千桜が横になっていた場所に仰向けに寝転がった。

「イくなら、私の中でイって?」

叱るような口調から一転、彼の目を見据えて強請る口調で千桜は言った。

(千桜がそうして欲しいなら)

僅かな理性を総動員させ、真は本能を捩じ伏せた。

瞼の裏の悦楽

彼の葛藤を知る由もない千桜は、彼の下腹に股がり、着ている浴衣の袖を下ろしていく。

片方ずつ、ストリップ嬢みたいにゆっくり、彼を焦らすように。

ハリも艶も抜けて乾燥気味の素肌、重力に従って垂れ下がった小振りの胸が、浴衣の中から現れた。

完熟した千桜の肌は、若い男が綺麗と思うには少々難があるが、真は違った。

眼前に晒された裸体に、彼は息を飲んだ。

「嬉しいわ。こんなオバサンの裸に興奮してくれて」

「千桜は、誰より綺麗だ」

「ありがとう」

真の嘘偽りのない言葉に、彼女は心底嬉しそうな笑顔を浮かべた。

千桜は膨張したままの熱棒に、潤う淫裂を宛がって徐々に腰を下ろしていく。

「ああっ…!」

真の口指淫により、柔らかく解れた媚肉は淫蜜を無限に溢し、彼の陽物を拒む事なく受け入れていく。

「はあぁぁん…!」

芯を持つ男根が侵入する淫靡な感覚を、瞼を下ろして、彼女は集中するように味わう千桜を、真は下から眺めていた。

彼にとってその姿は、どんなに若く見目美しい女性よりも妖美に思えた。

『私は騎乗位の挿入が好きなの』

キスに前戯、そして挿入。

真が今日まで知ってきたセックスは、全て千桜が教えたやり方。

「あぁっ、入ったわ、彼方のが奥までっ、」

完全に腰を落として、彼の昂りを最奥まで納めると、彼女は悦楽混じりの声で悦んだ。

そして、真の腹の上で千桜はゆっくり動き始めた。

亀頭が彼女の最奥の子宮口に当たり、前戯とは異なる快感を2人に与える。

千桜は真とセックスする時、彼を視界に映さない、彼の名前を呼ばない。

『貴方はよく似ているの、私が若い時愛した人に』

彼の疑問に彼女はそう答えた、世間話でもするように何気ない感じで。

真は千桜が思う以上に、彼女に恋い焦がれていた。

千桜が見ていたのは真じゃない。

本能が震え、狂う程に求めて、愛し合った人。

好きなのは貴方じゃないと暗に言われた真は、どうにも遣りきれない気持ちにされた。

ゆっくりだった千桜の動きが速くなる。

「当たってるっ…1番、気持ち悦いところに、…あぁっ!」

彼女が動く度、重力に従った胸や皮膚も激しく揺れる。

「あっ、あっ、あっ…ああんっ、」

(こんなの、自慰行為と大差ない)

背中で曲線を描き、小さな桃色の乳頭を突き出すと、真の上で欲に濡れた声を上げる。

(でも、オレを必要とするなら、それでいい)

真は腰を上下に動かして、下から千桜の最奥を突いて、彼女を絶頂へ導こうとする。

「やあぁぁんっ…!もっと、突いてえっ!」

彼は譫言のように口にされた彼女の言葉を受け取って、不規則だった腰の動きを、千桜が好きなリズムに直して動かす。

「あっ、そう、そこよっ!…あぁっ、イクっ!」

自らの律動に真の律動が加われば、千桜の絶頂はすぐ目の前まで迫ってきた。

「イクわ、…ああぁぁぁん!」

更に腰の動きを速めた千桜は、今夜1番の甲高い声を上げ、頭が真っ白になるのを感じた。

「はっ…はぁ…んっ」

絶頂を迎えた、千桜の淫肉にキツく締め付けられると、真は今まで耐えてきた熱い欲を勢いよく吐き出した。

「ああっ、」

真の精が迸る感覚は、彼女の全身に鈍い悦楽を巡せる。

絶頂の余韻を残したまま、千桜は瞼を上げて視界に光を入れると、ゆっくり下に下ろして真を視界に映した。

すると一瞬、夢から醒めたように切なげな顔をしたが、微笑を顔に貼り付けた。

(ああ、そんな顔をして)

千桜の複雑な表情は、真に嫉妬という感情を与えた。

「千桜」

嫉妬の念を追いやるよう、真は上半身を起こして千桜を強く抱き締めた。

 
 


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