クラミジア(性器クラミジア感染症)は、日本でもっとも多い性感染症です。やっかいなのは、女性の多くが「ほぼ無症状」で気づかないまま進んでしまうこと。放置すると不妊につながることもあるため、「心当たりがある」「パートナーが感染した」ときは、症状がなくても検査が大切です。このガイドでは潜伏期間・症状・検査の受け方と費用・治療、そして一番もめる「誰のせい?」問題まで、女性目線でまとめました。※診断・治療は必ず医療機関で。
クラミジアとは
「クラミジア・トラコマティス」という細菌による性感染症で、おもに性行為(膣・オーラル・アナル)で感染します。感染力が比較的強く、1回の行為でもうつることがあります。若い世代を中心に感染者が多く、「性病なんて縁がない」と思っている普通のカップルの間でも珍しくありません。
最大の特徴は無症状が多いこと。女性の約8割、男性でも約半数は自覚症状がないと言われます。だから「症状がない=感染していない」は通用しません。
潜伏期間はどのくらい?「いつうつったか」は特定できない
クラミジアの潜伏期間は、感染からおよそ1〜3週間とされています。ただしこの数字には大きな落とし穴があります。
つまり、検査で陽性になっても「いつ・誰から」は医学的に特定できないことがほとんど。今のパートナーを問い詰める前に、この事実を知っておいてください。犯人探しがなぜ不毛なのかは性病は誰のせい?潜伏期間と犯人探しの現実で詳しく書いています。
検査はいつから受けられる?
感染の機会(心当たりの行為)の直後に検査しても、まだ菌が検出できないことがあります。目安として機会から数日〜1週間程度あけてからの検査が確実です。心配な行為があったなら、焦って翌日に受けるより、少し待って確実に調べるほうが安心につながります。
女性の症状|「なんとなくの違和感」しか出ない
多くは無症状か、あっても軽いため見逃されがちです。出るとすれば——
- おりものが少し増える・色やにおいの変化
- 不正出血(とくに性交後の出血)
- 下腹部の鈍い痛み
- 排尿時の軽い違和感
- セックスのときの痛み
どれも「疲れかな」「カンジダかな」で流せてしまうレベルなのが怖いところ。おりものの変化はデリケートゾーンのケア完全ガイド、かゆみが強いならカンジダ完全ガイドと見比べつつ、心当たりがあるなら検査で白黒つけるのが確実です。
男性の症状
男性も無症状のことが多いですが、出る場合は排尿時の痛み・尿道のかゆみや違和感・透明〜白っぽい分泌物など。淋病より症状が軽いため放置されがちです。「彼に症状がないから大丈夫」とは言えません。
喉にもうつる(咽頭クラミジア)|キスは大丈夫?
オーラルセックスで喉に感染する(咽頭クラミジア)ことがあります。ほとんど無症状で、出ても喉の違和感・軽い痛み・腫れ程度。風邪と区別がつきません。
- 性器が陰性でも喉だけ陽性のケースがあるため、オーラルの心当たりがあれば喉の検査(うがい液・ぬぐい液)もセットで
- 軽いキスでうつる心配はまずありません。唾液の交換が多いディープキスでは可能性がゼロとは言えませんが、主な感染経路はあくまでオーラルセックスです
- 喉のクラミジアは性器より治療に時間がかかることがあり、治癒確認まで気を抜かないこと
放置するとどうなる?自然には治りません
まず大前提として、クラミジアは放置しても自然治癒しません。症状が消えても菌は残ります。そして女性が放置した場合のリスクは、性感染症の中でもかなり重いほうです。
- 炎症が子宮頸管から子宮・卵管へ広がり、骨盤内炎症性疾患(PID)を起こす
- 卵管の癒着・閉塞による不妊、子宮外妊娠のリスク
- 妊娠中の感染は、流産・早産や出産時の赤ちゃんへの産道感染(結膜炎・肺炎)につながることも
- 男性では精巣上体炎の原因に
「無症状だから」と放っておくのが一番損。逆に言えば、早く見つければ飲み薬で治せる病気です。将来の妊娠を守るためにも、不安なら検査を。
検査の受け方と費用|何科?いくら?バレない?
検査はおりもの(子宮頸管のぬぐい液)・尿・喉のぬぐい液やうがい液で調べます。受け方は3通り。
- 婦人科・泌尿器科・性感染症内科:症状があれば保険適用で、初診料込み2,000〜5,000円程度が目安。症状がない「不安だから調べたい」だけの検査は自費(5,000〜10,000円程度)になることが多い
- 保健所:自治体によってはHIV検査と合わせて無料・匿名でクラミジア検査を受けられます。お住まいの自治体の案内を確認
- 自宅検査キット:誰にも会わずに調べたい人向け。数千円で、郵送で結果が分かります。陽性ならどのみち受診が必要ですが、「病院に行くか迷い続けて放置」よりずっといい選択です
受診時は問診票に「クラミジアの検査希望」と書けばOK。婦人科では毎日のようにある相談なので、驚かれたり詮索されたりはしません。
治療|飲み薬で治る。ただし「二人で」
治療は抗菌薬の内服が基本で、1回の服用で済む薬が使われることも多いです。数週間後に治ったかどうかの確認検査をして完了。ここまでやって「完治」です。大切なのは——
- パートナーも同時に検査・治療する。片方だけ治しても、またうつし合う「ピンポン感染」で振り出しに戻ります
- 治療完了(確認検査でOK)までは性行為を控える
- 症状が消えても薬は指示どおり最後まで。自己判断の中断が再発・耐性のもと
パートナーへの伝え方・「誰のせい」問題
クラミジアが見つかったとき、本当に大変なのは治療よりこっちかもしれません。前述のとおり、無症状期間が長いため「いつ・誰から」は特定できないのが医学的な現実です。今症状が出たからといって、直近の相手からとは限りません。責め合いにせず、二人で検査・治療するのが唯一の解決です。
予防
コンドームの正しい使用が基本です(オーラルのときも)。それでも100%ではないので、パートナーが変わったタイミングや不安があるときの定期検査を習慣に。早期発見がいちばんの安心です。避妊とあわせて避妊の選び方ガイドもどうぞ。
よくある質問
潜伏期間はどのくらいですか?
およそ1〜3週間です。ただし無症状のまま数ヶ月〜年単位で経過することが多く、「発覚した時期」から「感染した時期」を逆算することはできません。
自然に治りますか?
治りません。症状が軽くなっても菌は残り、静かに進行します。抗菌薬での治療と、治癒確認の検査までが必要です。
キスやお風呂、タオルの共用でうつりますか?
軽いキス・湯船・タオルでうつる心配はまずありません。主な感染経路は性行為(膣・オーラル・アナル)です。家族にうつす心配はしなくて大丈夫。
彼としか経験がないのに陽性でした。浮気ですか?
断定はできません。彼があなたと出会う前の感染を無症状のまま持っていた可能性も普通にあります。潜伏期間の長さを踏まえると、検査結果だけで浮気の証拠にはなりません。まずは二人で治療を。
一度治ったらもうかかりませんか?
免疫はつかないので、何度でも感染します。パートナーの治療が済んでいないと、すぐにうつし返される(ピンポン感染)ので、必ず二人セットで完治させてください。
症状がないのに検査すべき?
はい。クラミジアは無症状が多く、心当たりやパートナーの感染があれば、症状がなくても検査をおすすめします。
自分を責めてしまう…
性感染症は誰にでも起こる体のことで、人格の問題ではありません。自分を責めないための心の持ち方もどうぞ。
※本記事は一般的な情報です。診断・治療は必ず医療機関で受けてください。(参考:厚生労働省・日本性感染症学会等の公開情報)


コメント