セックスの48手【2】恋のむつごと四十八手目次
恋のむつごと四十八手は、1679年(延宝七年)に刊行され販売されていた艶本です。延宝は、明治より86年も遡る元号で、令和の現在から340年以上も前のものなんですね。
江戸時代・浮世絵を確立した浮世絵師『菱川師宣(ひろかわもろのぶ)』を中心に、違う絵師が描いた15種類の体位も含まれています。
四十八手と言えば、セックスの体位48手を思い浮かべますが、この恋のむつごと四十八手は性行為だけを表したものではありません。
男女がセックスを始めるには、それまでの手順があります。
基本的に男性は気に入った女性を射止めようとあれこれと戦略を練り、女性の首を縦に振らさなければセックスはできませんよね。
動物の世界でも、鳥は美しい声でさえずり、色とりどりの綺麗な羽を広げダンスする求愛が行われます。
ここにある四十八手はセックスの体位だけではなく、交わるまでの過程・繰り広げられる男女の恋の絡み合いなども表しています。
恋やセックスは娯楽のためにあるものではなく、子孫繁栄のために行われるものである
この浮世絵の原画は、千葉県『菱川師宣記念館』に展示されているようです。
セックスの48手【2】恋のむつごと四十八手
- 其の1.逢夜盃(あふよのさかづき)
- 其の2.思比(おもひくらべ)
- 其の3.明別(あけのわかれ)
- 其の4.ぬれなづけ
- 其の5.四手(よつで)
- 其の6.茶臼(ちゃうす)
- 其の7.花月擬(くわげつのなぞらへ)
- 其の8.投足上(なげあしあげ)
- 其の9.君膝枕(きみのひざまくら)
- 其の10.曲茶臼(きょくちゃうす)
- 其の11.後だき(うしろだき)
- 其の12.寝入物(ねいりもの)
- 其の13.顔隠(かほかくし)
- 其の14.首引恋慕(くびひきれんぼ)
- 其の15.ふり侘(ふりわび)
- 其の16.袋入(ふくろいれ)
- 其の17.足違(あしちがへ)
- 其の18.片足上げ(かたあしあげ)
- 其の19.理非しらず(りひしらず)
- 其の20.しつとのうらやみ
- 其の21.両足じめ(りょうあしじめ)
- 其の22.横組(よこぐみ)
- 其の23.横だき(よこだき)
- 其の24.釣上(つりあげ)
- 其の25.二夫一女(にふいちぢよ))
- 其の26.後懸(うしろがかり)
- 其の27.だき合(だきあい)
- 其の28.相こがれ(あいこがれ)
- 其の29.押付業(おしつけわざ)
- 其の30.両足上(りやうあしあげ)
- 其の31.二女一男(にぢよいちなん)
- 其の32.横違(よこちがへ)
- 其の33.障子越(しやうじごし)
- 其の34.すのこがくれ
- 其の35.玉除(たまのぞき)
- 其の36.後手付(うしろでつき)
- 其の37.湯酒試(ゆざけのこころみ)
- 其の38.幕隠(まくがくれ)
- 其の39.添手(そへて)
- 其の40.似せ男(にせおとこ)
- 其の41.手懸(てかけ)
- 其の42.壁立合(かべたちあひ)
- 其の43.馬上懸(ばじやうがけ)
- 其の44.手放(てばなし)
- 其の45.男鹿戯(おしかのたはむれ)
- 其の46.腰懸業(こしかけわざ)
- 其の47.児女のかたらい(じぢよのかたらい)
- 其の48.火燵隠(こたつがくれ)
其の1.逢夜盃(あふよのさかづき)
男女の出逢い『恋の始まり』を現した非交合図の四十八手です。
其の2.思比(おもひくらべ)
想いを寄せ合うカップル。年上の女性が、男性をリードしようとしている浮世絵です。
其の3.明別(あけのわかれ)
人目を忍ぶ恋・禁断の恋含め、ごく通常の恋でもパートナーと離れる時は、寂しさを感じるもの。激しいセックスの後のセンチメンタルな想いを現した浮世絵です。
其の4.ぬれなづけ
恥じらう女性は男性にとって、セックスのスパイスとなります。
乱れるセックスだけではなく恥ずかしそうにする女性は、もっとイジメたくなるもの…。
其の5.四手(よつで)
正常位にはじまり正常位に終わるセックスは、多くのカップルが行なっていますね。包むこまれるような安心感も感じ、女性にとっては精神的な満足を感じられます。
其の6.茶臼(ちゃうす)
女性上位(騎乗位)の四十八手が、茶臼です。
男性にとってはたまらない眺めを感じられる四十八手でもあります。苦手な女性の方が多いかもしれませんね。
其の7.花月擬(くわげつのなぞらへ)
アナルセックスをせがむ男・セックスをせがむ女。女性の立場になれば、少し複雑な思いに駆られそうです…。
其の8.投足上(なげあしあげ)
居茶臼(座位)の四十八手です。多くのカップルが、セックスへ取り入れる体位です。
正常位から騎乗位の体位変換で行える中段階の体位でもありますね。『快』を求めるセックスは、さまざまな体位で楽しむものですね。
其の9.君膝枕(きみのひざまくら)
膝枕は、男女の仲を深める愛情ある行為でもあります。脚フェチの男性には、たまらないもの。
其の10.曲茶臼(きょくちゃうす)
考えられないことに、楽器を奏でながらの騎乗位です。
信じられないと思いきや、これと似たような行動をしている男たち。もっと女性をいたわってほしいものですね。
其の11.後だき(うしろだき)
後ろから挿入している座位(居茶臼)です。
妊婦さんに最適な体位でもありますし、女性が動いて主導権を握れる体位でもありますね。ポルチオによく当たるので、奥が性感帯の女性におすすめ。アナルセックスでも使えます。
其の12.寝入物(ねいりもの)
同じ家にいる女性に恋をし、口説くも受け入れられない。夜這いしている様子を表しています。
非交合図ですが今にも挿入する寸前…。後ろから見ている女性はだれ?
其の13.顔隠(かほかくし)
後からの座位で乱れた後、恥ずかしそうに顔を隠している女性。
快楽に乱れた後、顔を見られたくない女性心理を表しています。48手とはいえ、「恋のむつごと四十八手」の特徴ですね。
其の14.首引恋慕(くびひきれんぼ)
お互いの首に紐をかけ身体を支え合って行う座位です。
紐ときいても「?」となってしまいそうですが、縄を使ったプレイと聞けばゾクゾクするかもしれませんね。
其の15.ふり侘(ふりわび)
勃起したまま手を合わせ謝る男性。仲直りの後にセックスが始まるのでしょうか。
興奮した後のイチャイチャは、お互いの快感を高めるかもしれません。
其の16.袋入(ふくろいれ)
袋に隠した男性と、夜な夜な密かに交わりを持つ女性。
隠れて行うまでしても快感を得たい女性は、男性と違いありません。
其の17.足違(あしちがへ)
男女さかさまで、挿入部丸見えになりながら恥じらう女性。
挿入部分を見る男性の興奮も、見られている女性の興奮もマックスでしょう。
其の18.片足上げ(かたあしあげ)
その名の通り、片足を上げて挿入する四十八手の体位です。
男女ともに刺激的な快感を得られるでしょう。
其の19.理非しらず(りひしらず)
口説いても堕ちない女は、縛って無理やり犯す…。荒っぽい四十八手です。
ですが実は、案外恋人にされたいと思っている女性も多いもの…。
其の20.しつとのうらやみ
抱きしめている女性が本命?それとも…。男女違わず、こういった秘めた想いを持っているかもしれません。
其の21.両足じめ(りょうあしじめ)
しっかりと男性に両足を絡みつかせる本手(正常位)の体位です。
「女が心よがり、美快の声を出す…」という詞書があり、女性が正常位が一番気持ちいいと考えているのは今も昔も変わらないのでしょう。
其の22.横組(よこぐみ)
この四十八手『横組み』は、測位になります。
「今の世でもっぱら使用されるのはこの体位だ。」という詞書があり、お互いが楽に快感を感じられる体位でもあります。
正常位から横に転がって簡単に取れる体位です。お互いが楽にできるシックスナインと同じ体位ですね。
其の23.横だき(よこだき)
体勢に無理がありそうな四十八手『横だき』。
女性はあまり色々な体位を好まないが、男は色々したいと考えている…。とあります。あまりに多すぎる体位変換も落ち着きがなく困りそうですが、一度は試したい体位かも。
鏡に写す羞恥プレイにどうぞ。
其の24.釣上(つりあげ)
中国から伝えられたと言われる、ブランコにのっての挿入。ブランコプレイと言うものでしょうか。
ユラユラ揺れるブランコに目を閉じて乗りながらオーガズムを迎えると、より宙に浮かんでいるような気がするかもしれません。まさに天に昇るような感じでしょう。
其の25.二夫一女(にふいちぢよ)
男性2人に抱きかかえられ、後ろの穴と前の穴に挿入され3pを楽しむ女性。
完全に男性におもちゃにされている状態です。
其の26.後懸(うしろがかり)
子どもにおっぱいをあげている中、後ろから挿入されている様子。
『格別』という詞書がありますが、女性の本音はどうでしょうか。快感に集中できないどころか、イライラしそうです…。
其の27.だき合(だきあい)
キスを交わしている様子を表した四十八手です。
当時は『口吸い』を言われていたキス。今よりも生々しい言い方です。江戸時代の男性へのキスのハウツーは『女性の口の中に舌を入れるな。』とあります。でも、それはなぜ?
其の28.相こがれ(あいこがれ)
抱き合う男女を覗き見ている女性が描かれた四十八手。
男女は見られている快感を感じ、女性はその行為をおかずにオナニーしたのでしょうか…。
其の29.押付業(おしつけわざ)
その気があると思わせといて、誘っても無視して立ち去ろうとする女は、無理やり犯して困らせる…。
困らせると言うよりも、嫌がる事をして興奮し支配欲を満たすといった具合でしょう。
其の30.両足上(りやうあしあげ)
夏の暑い時に最適と説かれている体位です。
この体位は、男女ともに快感が得られる刺激的な体位。フニッシュ向けでもありますね。
其の31.二女一男(にぢよいちなん)
男1人女2人の3pの様子が描かれています。
どちらも欲しいという男性。女性はそれでもこの男に抱かれたいのでしょうか…。
其の32.横違(よこちがへ)
男性が横向きに挿入する四十八手の体位です。
なかなか通常のセックスでは使わない体位ですね。変わったことを楽しみたい男女にいいかもしれません。
其の33.障子越(しやうじごし)
障子の穴を突き破って行うセックスです。
壁穴からサービスしてもらう風俗があったように、穴から見えて喜ぶのは男性の方に多いかもしれません。
其の34.すのこがくれ
縁縁に隠れて、こっそりセックスする男女。春画ならではのパロディものです。
騎乗位であっても、女性が絶対にうまく動かなくてはいけないわけではありません。
其の35.玉除(たまのぞき)
挿れずに女性を焦らすテクニックを表している四十八手です。
焦らしプレイは男女ともに興奮し、より気持ちいい快感を感じますね。愛撫が行われていないと言われていた江戸時代ですが、実は前戯も存在したのです。
其の36.後手付(うしろでつき)
暑い夏の季節にいいと言われる四十八手です。
エアコンのある現代とは違って工夫をしないと、暑くてセックスなどしていられませんね。
この体位は、女性が腰を使いやすい体位です。
其の37.湯酒試(ゆざけのこころみ)
お風呂に入って綺麗になったあそこを見て欲情する男性。部屋風呂がある旅館で楽しんでいるような光景ですね。
温まってほんのり色づいた女性の肌は、男性をそそります。男性はお酒を飲み早漏予防になるのだとか…。
其の38.幕隠(まくがくれ)
幕で隠してこっそり行う野外セックス。
もっと刺激が欲しい・マンネリ気味の男女にはおすすめです。
其の39.添手(そへて)
高齢の男性が、スムーズに挿入できるように女性が行うサポートです。
柔らかいままでは入らず困っている女性は、手を添えてあげましょう。
其の40.似せ男(にせおとこ)
張り型(ディルド)を使ったセックスの春画です。
レズプレイに最適な装着型ペニスバンド。早漏で女性を満足させられない男性におすすめグッズの紹介リンクもあります。
また女性同士でも、やはり挿入される快感を求めます。
其の41.手懸(てかけ)
どんな体位でも、何かに手をかけて支えにする工夫を凝らしたセックスの体位です。
そして、管理人紗江の勝手な想像ですが、手懸(てかけ)=『妾』という意味をなぞらえて、不倫相手との情事を表したネーミングなのかな…なんて考えました。
其の42.壁立合(かべたちあひ)
向かい合い立ったままセックスする体位(=『立鼎(たちかなえ)』)です。
簡易的にどこでもできる体位ですが、実際に行うためには、女性の協力はもちろん男性の経験が必要。野外セックスで立鼎をしたい場合は、ノーパンでフレアスカートを着用していきましょう。
其の43.馬上懸(ばじやうがけ)
馬の上でセックスをしている男女。中国の春画を参考にしたようですが、実際には木馬の上です。本物の馬を飼っている方でな以外は、ほぼできそうにありませんね。
飼っていたとしても、エッチどころではありません。メリーゴーランドのあるホテルで試してみましょう。
其の44.手放(てばなし)
手を使わないセックスは、巧みな技術を持っていなければできないだろうということを表した座位の春画です。当然、下手では両者とも気持ちよくなれませんよね。
上手く動けないなら、いっそのことポリネシアンセックスをした方がいいでしょう。愛を深めたい男女は、ぜひお試しを。
其の45.男鹿戯(おしかのたはむれ)
犬や馬にたとえたバックスタイルが多い中、ここでは鹿に比喩している四十八手です。
ちょっとした遊びで、動物の真似をするのも面白いという詞書がありますが、立位での後背位からほんの1,2分だけ楽しむのもあり。ですが女性は疲れる上、ポルチオに痛みを感じるかもしれません。
其の46.腰懸業(こしかけわざ)
『どこにいても、アイデアさえあればセックスができる』という詞書が添えられた春画です。カーセックスや公園の草むらで、高架橋の下、ビルの屋上…などでのセックスも、いえば才覚のなせる技と言えるでしょう。
ただこの春画の2人、どうやら身分の違いがあるようです。また、もう少し才覚を駆使すれば、ポルチオイキできる体勢になれるかも…?
其の47.児女のかたらい(じぢよのかたらい)
まだあそこの毛が生えていないパイパンの女の子と、陰毛もなく皮の剥けていないおちんちんの男の子がセックスしようと試みている様子の春画です。
この子どもたちは、どこで性行為を学んだのか、どうして挿入しようとしているのか。色恋は自然と覚えるから、幼い子でも油断禁物。
寝ていると思っていても、実は…。
其の48.火燵隠(こたつがくれ)
恋のむつごと四十八手、最後はこたつの中で隠れて何やらやっているシーンの春画です。
誰にも見えずに隠された空間のこたつでは、気持ちが行動に表れますよね。こたつを『恋の仲立ち』と表現する比喩は、とってもロマンティックですね。
セックスの体位48手【1】はこちら
(PR)